番外編

10/34
46985人が本棚に入れています
本棚に追加
/204ページ
時間だけがゆっくりと流れる。 俺は話し終えると息をはいた。 ママは本当に黙って聞いてくれた。 時折頷くだけ。他には何も言わない。 少し気が楽になった気がした。 時計の針が12時を告げようとしている。 「ありがとう、ママ。話を聞いてくれて」 俺は帰ろうと立ち上がりかける。 その時、ママの手が俺をがしっと引き留めた。 ゴツゴツした手に俺は困惑する。 「あ、あの」 「ねえ、貴方」 ママは真顔で言った。 「私の、もう1つの仕事。それのお客様にならない?」 突然の誘いだった。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!