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時間だけがゆっくりと流れる。
俺は話し終えると息をはいた。
ママは本当に黙って聞いてくれた。
時折頷くだけ。他には何も言わない。
少し気が楽になった気がした。
時計の針が12時を告げようとしている。
「ありがとう、ママ。話を聞いてくれて」
俺は帰ろうと立ち上がりかける。
その時、ママの手が俺をがしっと引き留めた。
ゴツゴツした手に俺は困惑する。
「あ、あの」
「ねえ、貴方」
ママは真顔で言った。
「私の、もう1つの仕事。それのお客様にならない?」
突然の誘いだった。
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