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食事の後、一言も話さないまま、俺は優花と別れた。
別れ際、優花は困惑した表情を見せていたっけ。
家に帰り、灯りを灯す。
誰もいない室内。
心が悲鳴を上げる。
『辛いなら無理して笑わなくてもいいですよ』
ふと、優花の言葉を思い出した。
俺の気持ちをストレートに見抜いてきた彼女。
彼女がなんだか気になった。
ママは僕のプライベートは明かさないと約束してた。
それなのに彼女が僕の気持ちを理解してくれた事に興味を持った。
「辛いなら笑わなくてもいい、か」
ずっと隠していた俺の辛さを、もしかしたら彼女は理解してくれるかもしれない。
そんな期待を胸に抱く。
優花の顔を思い出すと、胸が小さく痛んだ。
それがなんなのかこの時の俺にはわからずにいた。
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