第3章

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「ううん、今来た所だから」 私は首を横に振り、答えた。 「優しいな、優花ちゃんは」 そう行って頭を優しく撫でる。 その細い綺麗な指が、とても愛しい。 「さて、行こうか?」 そういって和人はその手をさし伸ばした。 私はゆっくりと自分の手を重ねる。 温かい体温が伝わる。 「どこにする?まずはご飯たべようか?俺腹ペコだし」 そう言って和人はお腹に手を当てた。 「うん、私もお腹ペコペコ」 私も真似をしてお腹に手を当てると、和人は面白そうに目を細めた。 私達は手を繋いで歩く。 端から見れば私達はどんな風に見えるのだろう。 本当の恋人に見えるだろうか? 私と彼は契約された嘘の恋人なのに。 私の手を握る手は、本当に優しい。
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