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「えーと、この後どうする?
何にも予定がないなら、行きたいところあるんだけど」
会計を済ませた和人は、私に聞く。
私はちらりと時計を見た。
時計は9時半を過ぎている。
「大丈夫ですよ。
どこでも付き合います」
私は笑顔で答えた。
駅前の駐車場に止めていた和人の車に乗り込む。
助手席に座ると、彼が左腕を私の席の後ろに置いた。
私は思わずどきりとする。
その様子に気づいたのか、和人は小さく笑った。
「車バックする時はバックミラー見えにくくて、こうしないと不安でさ」
よく、車をバックする彼の仕草にドキドキするって言うけど。
解るかも。
彼の身体が近い。
ふわりと香るコロンと、マルボロの香り。
このまま胸に飛び込めたら、どんなに良いだろう。
でも、それは出来ないから。
この時を終わりにしたくない。
私は、車を移動する彼の横顔をこっそりと見つめていた。
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