46984人が本棚に入れています
本棚に追加
/204ページ
車が夜の街を走る。
車のMDからは今流行りの女性歌手の曲。
こんな曲が好きなんだ。
「優花ちゃんさあ、好きな奴とかいるの?」
運転をしながらいきなり和人が聞いてくる。
貴方です。
それが言えたらどんなにいいか。
でも、私はあえて嘘をつく。
「いないんですよ。募集中です」
和人はふーん、と呟いたまま黙る。
「ねぇ、どうしてそんな事聞くの?」
思わず口にする。
和人は、前を見たままだ。
「いや、好きな奴とかいたらさ。こういう事、出来ないじゃない?だからちょっと聞いてみた」
思ってた返事とは違う答え。
「実は君が好きなんだ」なんて甘い言葉を期待してた。
ちょっとガッカリだった。
最初のコメントを投稿しよう!