第3章

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観覧車が地上に着いたと同時に、私の携帯のアラームが鳴った。 時間ぎれ。 契約終了だ。 「シンデレラの帰る時間だ」 和人は残念そうに言うと、車のドアを開けた。 「店まで送るよ」 私は助手席に再び乗り込む。 魔法の時間は終わり。 もうすぐ私は元に戻る。 「また、指名するからね」 和人は優しく言った。 来週まで、また会えない。 でも、彼は私を指名するといってくれた。 店に着くと、和人はもう一度私の頬にキスをする。 「ありがとう、優花ちゃん。 楽しかったよ。また今度」 和人は、私の耳元で囁いた。 「また、今度」 私は和人の言葉を繰り返し、車を降りる。 去っていく車をずっとずっと見つめていた。
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