46984人が本棚に入れています
本棚に追加
/204ページ
観覧車が地上に着いたと同時に、私の携帯のアラームが鳴った。
時間ぎれ。
契約終了だ。
「シンデレラの帰る時間だ」
和人は残念そうに言うと、車のドアを開けた。
「店まで送るよ」
私は助手席に再び乗り込む。
魔法の時間は終わり。
もうすぐ私は元に戻る。
「また、指名するからね」
和人は優しく言った。
来週まで、また会えない。
でも、彼は私を指名するといってくれた。
店に着くと、和人はもう一度私の頬にキスをする。
「ありがとう、優花ちゃん。
楽しかったよ。また今度」
和人は、私の耳元で囁いた。
「また、今度」
私は和人の言葉を繰り返し、車を降りる。
去っていく車をずっとずっと見つめていた。
最初のコメントを投稿しよう!