46984人が本棚に入れています
本棚に追加
/204ページ
「ただいま。」
ゆっくりと家の玄関を開けると、奥から母親が顔を覗かせる。
「遅かったのね。夕飯は?」
「コンビニで済ませた。遅れたのは今日テストがあったから」
靴を脱ぎながら私は母親に嘘をついた。
もう罪悪感なんか無くなってる。
「そう、
お母さん明日も仕事で遅くなるの。夕飯は自分で済ませてね」
「分かった。お風呂に入るよ」
私は言葉少なげに言うと、自分の部屋に入った。
ベッドに鞄を置き、そのまま倒れ込む。
あの幸せな時間とは対称的な嫌な家。
居間に父親の姿はなかった。
母の辛そうな表情が浮かぶ。
「…また、女のとこか」
いい加減離婚してしまえばいいのに、私の為だとなあなあになってる。
母が何も言わないのを良いことに、父は会社の女と毎晩の様に会っている。
仕事、仕事って嘘ばかり。
私は寝転んだまま天井を見上げた。
最初のコメントを投稿しよう!