第4章

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彼は私の横に座り込み、歩く人を眺めている。 「なんで、ずっといるの?」 問いかける私に、彼はしばらく考えてから答える。 「なんか、独りになりたくないって顔をしてっから」 優しい声。 その声に涙腺が緩くなる。 「聞いてやろうか?話くらいなら聞く」 「…え?」 「だって、苦しそうだから。 誰かに話せば少しはスッキリするよ」 私は、その言葉を皮切りに大きく泣き出した。 彼は動揺もせず、ただポンッと頭に手を添える。 「お、お父さんが、浮気してたの」 「うん」 「お母さんも、めったにうちにいないし、家にいてもつまらないの」 「うん」 「帰りたく、ないよ。あんな家に」 いつの間にか名前も知らないその人に、気持ちを打ち明けていた。
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