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泣きじゃくりながら話す私を、しばらく黙ったまま聞いていた彼が不意に告げた。
「なあ、ちょっといいとこいかね?気分転換しに」
「…変なとこ?」
怪しむ様な私の返事に、彼はぷっと吹き出す。
「いくらなんでも女子高生に手ぇ出すほど飢えてねぇよ」
彼は立ち上がると、私に手を差し出した。
私は彼の手を握り立ち上がる。
「俺、海斗って言うんだ」
「私は、優花」
いい名前じゃん、と海斗は笑って言ってくれた。
そのまま人の中を歩き出す。
手を繋ぐ海斗の手はとても優しい。
私は涙を拭きながら後に続く。
やがて連れてこられたのは、
『蝶の夢』だったんだ。
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