第5章

9/16
前へ
/204ページ
次へ
撮影用の洋服を着せられ、海斗にメイクを直してもらうと、私はカメラの前に立った。 「はい、目線こっちね」 カメラマンの言われるままポーズを取る。 最初は緊張していたけど、だんだんと慣れてきた。 カメラのフラッシュがたかれる。 「はい、オッケー。お疲れ様でした」 撮影が終わると、海斗が肩に自分のコートをかぶせる。 「ほい、コーヒー。俺もう少し仕事あるから待っててな」 海斗は再び撮影陣の中に入る。 私はその様子をぼんやり眺めていた。 すると、視線の隅に何かを見つけた。 そちらを見ると、見覚えのある姿。 「…あ」 そこには和人がいた。撮影に気づく様子はなく、目の前を通りすぎていく。 私はコーヒーとコートを置くと、なにも考えず後を追った。 初めて見るプライベートでの和人。 彼の事を沢山知りたかったから。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46983人が本棚に入れています
本棚に追加