第5章

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人混みの中を歩く長身。 私はその後を必死で追う。 なんだか、ストーカーか探偵みたいだ。 今日は変装して『優花』じゃないし。 駅前で彼が立ち止まる。 ヤバい。 私は少し離れた彼の後ろ側の植え込みに座り込んだ。 植え込みを挟んで、プライベートな彼がそこにいる。 私はそれだけでそわそわしていた。 ちらりと後ろを見るといつの間にか彼の目の前に女性がいた。 年齢的には和人と同じくらいの、スーツ姿の女性。 もしかしたら彼女?何かを真剣に話している。 私はそっと聞き耳を立てた。 雑踏の中、中々話は聞こえない。 もう少し前にでてみようかな? そう考えた矢先。 彼女が和人の頬を平手打ちした。 高い音が響く。 「貴方のせいで…はもう帰らないのよ!」 「…悪かったと…だから」 「許さない…貴方だけのうのうと生活して…絶対に許さ…」 途切れ途切れに話が聞こえる。 何? 何の事を話してるの? 私は植え込みから身を乗り出しかけた。
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