第5章

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撮影場所に戻ると海斗はようやく手を離した。 掴まれた手がじんじん痛い。 「いきなりいなくなったから心配しただろ。探させんなよ」 口調はいつもの海斗になっている。 「ごめんなさい」 私は素直に謝った。 「ほら、着替えてこい。飯おごってやるから」 海斗は私を撮影バスに促した。 私はそれに従う。 洋服を着替えながら、さっきの事を考える。 疑惑が胸をよぎって離れない。 和人の秘密。 彼女を見つめる顔はいつもの優しい和人ではなかった。 まるで贖罪するような、辛そうな顔。 今まで見た事のない知らない表情。 気になってしょうがない。 着替え終わると、ちょうどバスの窓がノックされ、海斗が覗き込む。 「支度出来たか?行くぞ」 私は荷物を持つと、バスを出た。
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