第5章

13/16
前へ
/204ページ
次へ
私達は近くのファミレスに入った。 海斗はいつも禁煙席に座る。 「俺、気管支弱いから煙草駄目なんだよ」 以前そんな事を言ってたっけ。 席に座ると、海斗が封筒を差し出す。 「今回のバイト代」 私は慌てて押し返した。 「い、いいよ。私別にそんなつもりで引き受けたんじゃないし」 「駄目。受けとれ」 封筒を突っ返される。仕方なく受けとるとカバンに入れた。 適当に料理を頼んだ後、私はさっきの事について聞いてみたくなった。 「海斗」 「何?」 「撮影前にさ、終わったらなんでも言うこと聞いてくれるって言ったよね」 「あ、覚えてたか」 海斗は苦笑いをする。 「いいぜ、俺の出来る範囲なら」 私は身を乗り出した。 「じゃあ、教えて。和人さんと一緒にいたあの人は何なの?」 海斗の表情が固まる。 でも私は気になって仕方ない。 「教えて、海斗は知ってるんでしょ」 私はもう一度、海斗に聞き返した。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46983人が本棚に入れています
本棚に追加