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海斗はしばらく黙りこくっていたが、やがて諦めるように深く息を吐く。
「大まかしか言わない。後は駄目。プライベートに関わる事は本人には深く詮索しない。守れるか?」
私は頷いた。
海斗は、片肘を付き私を見つめる。
「あれは、和人さんの奥さんのお姉さんだ」
奥さん。
襲撃が走る。
「奥さん、いたんだ」
「今はいないけどな」
水の氷をからからと回しながら海斗は続ける。
「亡くなったんだ。二年前に」
お待たせしました~、と能天気な声で店員が料理を運んでくる。
海斗が両手を軽く叩いた。
「はい、もう終わり。食べるぜ」
「え~~」
私は不平そうに海斗に訴える。
「契約違反。和人が自分から話すのを待つんだな」
海斗は、料理に手をつけながら私を戒めた。
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