46983人が本棚に入れています
本棚に追加
料理の味は最後まで分からなかった。
さっきの海斗の話が気になって仕方ない。
『蝶の夢』でメイクを落とし、海斗が送ってくれる車の中でも、私はぼんやり考え込んでいた。
「優花。まだ考えてんのか」
海斗が運転しながら私に聞く。
「やっぱり和人さんが好きなのか?」
海斗の問いに私は慌ててかぶりをふる。
「違うよ」
「…嘘だ」
海斗が道の端に車を止めた。
私の方を向き直る。
「本当に、好きなんだろ?」
「……」
答えない私に、海斗は真面目な顔で言った。
「俺に、しとけよ」
え?と海斗を見た瞬間、海斗が私の頬に口づけた。
突然の事に一瞬固まる。
海斗は真面目な表情のままだ。
「か、海斗?」
私は動揺した声をあげた。
最初のコメントを投稿しよう!