第6章

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再び、仕事の日。 『蝶の夢』の扉を開けると、そこにはママと美奈さんがいた。二人は真面目な顔で話し合っている。 「こんにちは、どうしたんですか?」 私が入ってきた事に気づいたのか二人はこちらを見た。 「ああ、優花ちゃん。早いじゃない?」 美奈さんが明るい声で挨拶をする。 「何か、あったんですか?」 ママは少し怒った表情だ。 「ほら、彩希ちゃんっていたじゃない。最近入ってきた」 ママの言葉に私は顔を思い出す。 少し軽そうな感じの女の子。べらべらと客の話をして、よく海斗に注意されてた。 「あの子、妊娠してたのよ。客の子供」 私は驚いて声をあげた。 「本当ですか?」 「昨日、トイレで吐いてたから気になって検査したらビンゴ。相手は奥さんも子供もいるし、連絡したら「おろせ」の一点張り。 一応、彩希ちゃんと話し合って、ママの知り合いの病院でおろしてきたの」 美奈がため息をつく。 「結局、彩希ちゃんも解雇せざるおえないし、ママはご立腹だし。最悪よ」
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