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「本当は、殺したくなかったわよ。彩希ちゃん泣いて育てるって聞かないし。でも相手はトラブルに巻き込まれたくなかったのね。」
美奈が片手を頬に当て、仕方なさそうにママに話しかける。
「どちらも契約して間もなかったから、心配はしてたんだけど。はあ、気が重いわ」
ママも元気のない声で言った。
「だから、優花ちゃん。あなたも気をつけてね。まあ、和人さんに限ってそんな事はないだろうけど」
ママが釘をさす。
私は何も言わずに頷いた。
奥に入ると、メイク道具を点検する海斗がいた。
「よお」
変わらない態度。
やっぱりこの前のは冗談だったんだ。
私は、鏡の前に座る。
海斗が私のメイクをしながら口を開いた。
「聞いたか?彩希の事」
私は黙って頷く。
「彩希も可哀想だけど、もっと可哀想なのは、何も知らない子供だよな。
せっかくこの世に生を受けたのに、大人の都合で殺されて」
海斗はメイクを続けながらやりきれない表情を浮かべた。
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