第6章

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「本当は、殺したくなかったわよ。彩希ちゃん泣いて育てるって聞かないし。でも相手はトラブルに巻き込まれたくなかったのね。」 美奈が片手を頬に当て、仕方なさそうにママに話しかける。 「どちらも契約して間もなかったから、心配はしてたんだけど。はあ、気が重いわ」 ママも元気のない声で言った。 「だから、優花ちゃん。あなたも気をつけてね。まあ、和人さんに限ってそんな事はないだろうけど」 ママが釘をさす。 私は何も言わずに頷いた。 奥に入ると、メイク道具を点検する海斗がいた。 「よお」 変わらない態度。 やっぱりこの前のは冗談だったんだ。 私は、鏡の前に座る。 海斗が私のメイクをしながら口を開いた。 「聞いたか?彩希の事」 私は黙って頷く。 「彩希も可哀想だけど、もっと可哀想なのは、何も知らない子供だよな。 せっかくこの世に生を受けたのに、大人の都合で殺されて」 海斗はメイクを続けながらやりきれない表情を浮かべた。
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