46983人が本棚に入れています
本棚に追加
望まれない為に殺された子供。
望まれて生まれた筈なのにほっとかれる私。
どちらもあまり変わらないな。
私の表情に気づいたのか、海斗が手を止めた。
「ごめんな、こんな話」
私は、ううん。と返事だけを返した。
メイクを終え、服を着替える。
今日はキャミソールワンピースにボレロを合わせた。
「…お前は、気をつけろよ」
海斗が髪を直しながら私に言う。
「和人さんに限ってそんな事はないよ」
笑って言うと、海斗はそうだな、と言い道具を片付けた。
踏み込めば傷つく。
なら聞かない方がいい。
このままの関係なら、私は騙されたまま幸せでいられるから。
彩希ちゃんの様に、現実の終わりを迎える事なく、彼との時間を楽しめばいい。
本気じゃない。
割りきらなければ。
私は自分にいい聞かせる様に心の中で呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!