第6章

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待ち合わせ場所には、彼はまだいなかった。 大抵和人は遅れてくる。 仕事してるから仕方ないか。 私は側にあったオブジェに背中を預けた。 二十分… 三十分…。 おかしいな、こんなに遅れるなんて。 私がママに電話をしようと携帯を取り出したその時、人混みの中から和人さんが現れた。 「…優花ちゃん、ごめん!」 走ってきたのか息が荒い。 いつもきっちりとしているスーツもなんだか乱れぎみだ。 「本当にごめん。待ったろ?」 和人が申し訳無さそうに頭を下げる。 「大丈夫です。仕事忙しいんでしょ?」 「ううん、仕事は早く終わったんだけどね…」 和人はなんだかぼんやりしている。 顔も少し赤い。 私は和人の額に手を触れた。 熱い。 「和人さん、具合悪いんですか?」 和人は、ははっと力なく笑う。 「ちょっと、微熱があってさ。薬局いって薬飲んできた」 微熱なんてものじゃない。 触った額は結構熱かった。
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