第6章

6/10
前へ
/204ページ
次へ
「大丈夫じゃないですよ」 私は迷った。 薬を飲んでるし、こんなにふらふらなら運転させられない。 私は辺りを見回す。視界の端に、ビジネスホテルが目に入った。 「とりあえず、横になりましょう。歩けます?」 私は和人に肩を貸した。 力なく肩に回される手。 そのまま、ビジネスホテルに連れていくとチェックインを済ませる。 事情を話すと店員が手を貸してくれ、一室に案内された。 和人をベッドに寝かせ、上着とネクタイを外す。 「女の子に脱がされるなんて、新鮮だなあ」 和人が冗談を言う。それだけ言えれば大丈夫だろう。 店員が氷枕と薬を持ってきた。 「軽い熱冷ましだから飲ませてあげてください」 私はお礼をいうと扉を閉めた。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46983人が本棚に入れています
本棚に追加