第6章

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薬を飲ませて、氷枕を和人の頭に差し込むと、彼は気持ち良さそうに目を閉じた。 「ごめんね、せっかく来てくれたのに」 「いいんですよ、少し眠ります? 眠ったら帰りますから」 そう言って立ち上がろうとした私を、和人の手が引き留めた。 「いてよ」 握りしめる手が熱い。 「契約時間まででいいから、一緒にいてよ」 切ない声に胸が高鳴る。 私は悟られない様に意地悪く笑った。 「和人さん、子供みたい」 「いいじゃない、たまには」 和人はぼんやりとした顔で私を見つめた。 私は手を握ったままベッドの横に座る。 「ありがとう」 和人はゆっくり目を閉じた。
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