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コチコチ…。
時計の音だけが響く。
私の手は握られたまま。
熱冷ましが効いてきたのか、荒い呼吸はやや収まった気がする。
「和人さん」
名を呼んでも答えない。
時折うなされるように小さく呻く。
契約時間まで、あと二時間。
終了前に海斗に連絡して、後は頼もう。
私は立ち上がりそっと和人の手を剥がそうと指を伸ばした。
その時いきなり、私の手が引き寄せられた。
私はバランスをくずし、和人の横に倒れ込む。
和人はそのまま私を抱き締めた。
「……」
和人が何かを呟く。
なんだろうと顔をあげた瞬間。
和人の唇が私の唇をふさいだ。
いきなりの事に私は目を見開く。
慌てて起き上がろうとするも、熱とは思えない和人の力に動けない。
「か、和人さん」
私は気が遠くなりそうな感覚の中で、彼の名を呼んだ。
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