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私は、荒い息を整えた。
「和人さん?」
返事はない。
もしかして、寝ぼけてた?
本気じゃなかった事に気付き、私は少し落ち込む。
唇には、まだ感触が残っている。
契約違反だ。
バレれば、彩希ちゃんみたいにやめさせられる。
「…絶対黙ってよう」
私は自分に言い聞かせた。
和人の腕はもう緩んで、いつでも抜け出せたけど。
私はそっと彼の胸に頭を寄せた。
時計のような彼の心音が聞こえる。
暖かい。
なんだかとても安らぐ。
私はそっと彼の胸に手を回すと、ずっとその音を聞いていた。
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