第7章

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時計が契約終了の時間を告げる。 私は海斗に電話し、ホテルに呼び出した。 海斗はしばらくしてやや怒った表情で現れた。 私の顔を見て怪しむような目をする。 「なんでこんな所にいんだよ」 急いでいたから事情を説明しなかった。 これは誤解されてる? 私は慌てて事情を話した。 話終わると、海斗は脱力したように肩を落とす。 「後は、俺がやるから。お前は帰れよ」 私はわかった、と言い帰ろうと立ち上がる。 その時海斗が私を見た。 「本当に何もなかったんだろうな」 疑われてる。 確かに、何もなかった訳じゃないけど。 「あるわけないじゃない。こんな状態で」 私は揺れる気持ちを隠して答えた。 海斗はただ黙ったまま私を見ている。 嘘がばれてるのかな。 私は上目遣いで海斗を見返した。
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