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「ま、そうだよな。この状態じゃ」
良かった。ばれてない。
私は胸を撫で下ろした。
「早く帰れよ。ママも心配してたから。ちゃんと説明してな」
私は頷くと、ホテルを出た。
後に残った海斗は、じっと和人の顔を見つめた。
目を閉じる和人の口の端に残るピンクの口紅の跡。
海斗は、濡れたタオルで静かにそれを拭き取った。
「嘘じゃん」
優花の顔を思い出す。
あえて言わずにいたが、実は入った瞬間から気付いていた。
口紅の落ちた唇に。
「ちくしょう…」
海斗は椅子に座り込むと頭を抱えた。
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