第7章

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今日はなんだかおかしい。 いつもならどんな状態でも真剣に取り組むのに。 「ねぇ、海斗」 覗きこもうとした私を、海斗がふいに抱き締めた。 抱き締めたまま、海斗が耳元で囁く。 「お前、和人さんとキスしたろ」 突然言われて私は動揺した。 「そ、そんな事っ」 「今回は黙っててやる。だけどこれだけは言っとくぞ」 私をきつく抱き締めたまま海斗が冷たく囁いた。 「本気になるな、絶対に」 私は海斗を思い切り突き飛ばす。 海斗は少しよろめくとこちらに視線を向けた。 「そんな事… そんな事わかってる! わかってるけど止められないんだもの!」 私は叫び、部屋を飛び出した。 途中でママに声をかけられたけど私は止まらなかった。 なんで、 なんで海斗にそんな事言われなきゃならないわけ?! 混乱する心を必死で静めながら私は走り続けた。
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