第7章

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「海斗。」 ママが部屋の奥で声をかける。 奥には椅子に座りうなだれた海斗が居た。 「和人さんと優花ちゃんの事? あんただってわかってんでしょ。和人さんは…!」 「わかってんだよ!」 強い口調に、ママはびっくりしたように目を開く。 「わかってるんだよ、俺だって。でも、行かせたくない。和人の元へ。」 うなだれた海斗をママが慰める様に頭を撫でる。 「好きなのね、優花ちゃんが。」 海斗は黙ったまま頷いた。 本当はずっと好きだった。 でも、ずっとずっと胸に秘めてた。 和人と会っていても和人の理由を知ってたから安心出来てた。 でも、優花とキスした和人。 ムカつく。本気になれないくせに思わせ振りな事をしたあいつに。 「…あいつ、絶対辛い想いをするよ。」 呟く海斗をママは黙ったまま見つめていた。
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