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駅前は夕闇に包まれ、サラリーマンの帰宅ラッシュが続く。
私はその中に紛れながら、足を早めた。
沢山のスナックやバーが立ち並ぶ繁華街に入る。
今は女子高生が歩いてても、周りの人は目もくれない。
それが私には楽だった。
やがて、黒い扉の前で足を止める。
扉についた看板には、シルバーのプレートに『蝶の夢』と彫られている。
私は躊躇する事なくその扉を開けた。
「あら~っ優花ちゃん。早いじゃない」
カウンターにいたママが声を掛けてくる。
『蝶の夢』のママ。でっぷりとした体格に綺麗な着物を身に付けている。
顔にはやや青い髭反り後。
そう、マスターは
いわゆるニューハーフ。
ママは、グラスを拭きながら私に座る様に言う。
私はそれに従った。
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