第2章

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駅前は夕闇に包まれ、サラリーマンの帰宅ラッシュが続く。 私はその中に紛れながら、足を早めた。 沢山のスナックやバーが立ち並ぶ繁華街に入る。 今は女子高生が歩いてても、周りの人は目もくれない。 それが私には楽だった。 やがて、黒い扉の前で足を止める。 扉についた看板には、シルバーのプレートに『蝶の夢』と彫られている。 私は躊躇する事なくその扉を開けた。 「あら~っ優花ちゃん。早いじゃない」 カウンターにいたママが声を掛けてくる。 『蝶の夢』のママ。でっぷりとした体格に綺麗な着物を身に付けている。 顔にはやや青い髭反り後。 そう、マスターは いわゆるニューハーフ。 ママは、グラスを拭きながら私に座る様に言う。 私はそれに従った。
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