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車は緩やかに走り出す。
今日はスーツじゃなく、ラフなシャツにジーンズの和人。
なんだか新鮮だ。
「こないだは、その。ごめんね」
和人が謝る。
思わずあの時の事を思いだし、私は首を横に振るのがやっとだった。
そうだった。
キス、されたんだ。
「君にいてくれっていったとこまでは覚えてるんだけどさ。気がついたら、ママのとこの…えーと、あの男の人」
「海斗?」
「そう、海斗くん。彼がいてびっくりしたよ。君が変身したのかと思った」
覚えてないのか。
やっぱり寝ぼけてたんだ。
あの深い口付けも。抱き締めた事も。
改めて思いだし、顔が赤くなる。
和人に気付かれない様に、私は窓の外を見た。
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