第8章

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車は緩やかに走り出す。 今日はスーツじゃなく、ラフなシャツにジーンズの和人。 なんだか新鮮だ。 「こないだは、その。ごめんね」 和人が謝る。 思わずあの時の事を思いだし、私は首を横に振るのがやっとだった。 そうだった。 キス、されたんだ。 「君にいてくれっていったとこまでは覚えてるんだけどさ。気がついたら、ママのとこの…えーと、あの男の人」 「海斗?」 「そう、海斗くん。彼がいてびっくりしたよ。君が変身したのかと思った」 覚えてないのか。 やっぱり寝ぼけてたんだ。 あの深い口付けも。抱き締めた事も。 改めて思いだし、顔が赤くなる。 和人に気付かれない様に、私は窓の外を見た。
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