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車に乗り込みしばらくいった所で、和人が車を止めた。
「ごめん、ちょっと待ってて」
そう言うと、小さな花屋さんに入っていく。
やがて白いユリの花束を両手に抱えて帰ってきた。
後部座席にそれを乗せると再び走り出す。
「どこ、行くんですか?」
「もうすぐだから」
それ以上、和人は何も話さない。
私はだんだん不安になってきた。
やがて、車が音をたてて止まる。
降りた私は、和人が何をしたいのかわかった。
立ち並ぶお墓。
小さな墓地だ。
まさか、ここは。
「ついてきて」
ユリの花を抱えたまま、和人が言った。
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