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昔、昔から天皇の膝元として栄え、それでも優美は失わず。永久に栄え続ける都。
京の都。
その中に、夜に息を吹き返す場所がある。そこには夢や希望、はたまた絶望、死まで。酒と女を肴に、繰り広げられる。
島原に、夜が来る。
*****
私は壁の向こうで大きな笑い声を聞きながら、皿洗いをしていた。厨では主人の妻が火の側で休む間もなく手を動かしている。
今日は羽振りの良い客らしい。次々と皿が運ばれては空になって返ってきた。
私は島原の小さな遊女屋で下働きをしている。本当に、角屋や輪違屋などとは比べものにならないくらいの、ひっそりと、ぽつんとある店だ。
遊女たちは芸や酒のお相手しかしない。しかしそれでも客はやってくる。彼女らの舞や芸、そして女将の料理のお陰だ。
私は小さい頃、商売をしていた両親にここに預けられた。
私の兄弟や姉妹は今だ店にいたり、奉公に出たり、それでも日の下で暮らしている。
私は両親のもとに、商売をする家に生まれるべきではなかった命だった。
けれど、ここにいられるのは何よりも一番の両親の愛情の証だった。
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