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   自分の体がゆらゆら揺れているのがわかった。  体はだるくて、自分で歩いているわけではないのは理解できるのだけれど、どうしてこうなっているのかがわからない。地に着いていない足と支えられた温かさが、誰かに運ばれていることを伝えた。  気を失ってからどれくらい経っているのだろう。  とにかく私は生きていた。 「……気付きましたか」  ふと上からかけられた声に、小さく身動ぎをした。  気づいていない振りをし続けるわけにもいかないような気がして、そっと薄目を開けて顔を上げた。  そこはどこか、屋敷の廊下のように見えた。年月を経て色を濃く変えた床板が、長く続いていた。大きな屋敷らしかった。 「私は……」 「ああ、よろしいですよ、無理に話さなくても」  その声は誰のものかもわからないのに、深く甘くて安心した。私を運ぶこの人間がどこの誰かもわからないのに、私はそっと強ばっていた体の力を抜いた。  誰なのか、ここはどこなのか、聞きたかったけれど私は途方もなく疲れていて、叫び続けていた喉は乾いて張り付いているようで、とにかく全てが億劫だった。  感覚が全部、麻痺してしまっているようだった。  
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