最も強い、はずのアイツ

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   教室の掃除を終え、部屋に戻る前に預けたパジャマ等を受け取り、部屋でゴロゴロし、片山と食堂に行き、帰り、宿題やって寝て起きて一~七時限目を受けたのであったぁ!  つまり、魔法の授業以外は俺にとってどうでもいい事だったのだ。 「では水魔法の基礎に入りたいと思いますが、まず前回のおさらいから」  笑顔で語りかける神谷先生。 「そもそも魔法がどういう仕組みで動くのか、という事は全くわかりません。昔はわかっていた人がいたのかもしれませんけどね。でもとにかく、何らかの法則性がある。理解不能で摩訶不思議な法則、だから魔法なんです。  みなさんは魔法適性検査を受けましたよね? 魔法は誰にでも使えるわけではありません。ほんの一握りの人が持つ才能なんです。遺伝するかどうかもわかりません。そして、才能の有る人達の適性値は歳を経る毎に高くなっていきます。無い人達の適性値は無いままなんです」  先生が顔に似合わぬ乱雑な文字で、黒板に素早く簡単な図を書いていく。 「次は魔力についてでしたね。こっちも摩訶不思議な力、で魔力です。これは個人差がありますが、全人類が持ってます。動植物も持ってます。適性値とは違って、測定出来る器具は無いんですけどね。  じゃあなんで持ってるのがわかるのかって疑問に思った人もいたと思います。昨日はこの話はできませんでしたね。  三年生で習う魔法の中に、一分間範囲の中の物の魔力を奪うっていうのがあるんです。それで試してみたんですよ。ちなみに描く図形はこうで呪文は……いえ、やめておきましょう」  黒板に、なにやら三角形とS字と五芒星をいくつも組み合わせたような図形を書き、すぐに消した。 「最後に魔力の器についてでしたね。簡単に言えば、これが大きいと沢山魔法が使えるって事です。で、誤解していた人が多いと思うのですが」  先生は言葉を切り、先に黒板に書き始めた。書き終えると、強調するようにチョークで黒板を二度叩く。 「魔法適性値と魔力の器は全く関係が無い! という事です。魔法適性値はどのくらい複雑な難しい魔法が使えるかであって、沢山魔法が使えるって事じゃない、とここまで説明しましたよね?」  はい、その通りですが……。昨日も萎えたその説明をスピードアップして再び聞かされるこっちとしては、疲れ切ってグデーっとしていても仕方ないと思います。  
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