最も強い、はずのアイツ

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   やる事がなかった俺は結局教室で寝て時間を潰し、一~七時限の通常授業を頑張って聞き、八時限目を迎えたのであったぁ!  さて、取り出したるは水魔法の基礎とネームペン。名前を後ろに書き入れまして、授業を受ける準備は万端であります。 「昨日やる事だよな、それ」 「まあいいのさ」  突っ込んできたのは片山明久(かたやま あきひさ)。某走り去っていった黒い短髪である。 「で、どんな授業だと思う?」 「そう言われてもな……まあ受けてみればわかるだろ。先生来たぞ」  実際魔法の授業なんぞ想像できん。 「では授業を始めましょうか。起立」  礼、お願いしますの唱和、着席となったところでようやくチャイム。 「魔法の授業の担当は担任の神谷裕子です。よろしくお願いしますね」  チャイムが鳴り響く中、黄色いスーツに白いブラウスを見事に着こなした、身長低めの茶髪女性(三十路過ぎ)が言った。 「魔法の授業は週に四時限、つまり四単位あります。でも魔法は大切ではありません。そんなもの無くても社会では何の問題もないからです。ですから他の勉強を頑張って下さいね」  魔法の教師がそんな事言っていいのかよ。 「先生、一つ質問なのですが」  オレンジっぽい金髪の、検査で凄い結果を出した少女が聞く。 「なんでしょう?」 「何故授業が全部八時限目なんですか」  それは俺も不思議に思っていた事である。月、火、水、木曜の八時限目が魔法の授業。他は結構バラしてあるのに、明らかに固まっていた。 「ああ、それはですね」  と、先生が胸の前で手を打った後答える。 「魔法ってケッコー危なくて、怪我したり気絶したりってよくある事なんです。なので他の授業に影響が出にくいようにそうしてあるんですよ」  嫌な事を聞いてしまった。今までは、これで生活費国から貰えるとか最高だとか思っていたんだが。 「あ、でも真面目にやれば、怪我はしないと思います。気絶はよくありますが」  なんにしても気絶はよくある事らしい。  
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