最も強い、はずのアイツ

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   授業は淡々と進んでいく。考えていたより面白くない。早く終われ、と考えつつノートを取り、ようやく終盤に差し掛かった。 「これで基本的な考え方の説明は終わりましたね。で、次の授業からは水魔法の基礎に入っていきますが、その前に」  そう言うと先生は教室の外へと出ていき、しばらくしてプラスチックコップを持って来た。 「あなた達が出来るようになる事を見せておきましょうか」  コップが教卓の上に置かれる。先生はそこから少し離れた所に立った。 「Ri,a ne」  先生は、体の前で指を動かしつつそう言った。するとその動きをなぞったような青白い光が生まれ、それを囲むように二重の円が生まれ、その間に何か文字のような物が生まれる。  やがて光が収まると、そこには直径三センチ程の水の球が浮かんでいた。  そしてそれはゆっくりコップに向かっていき、中に納まると、ピチャッと音を立ててコップの形になった。 「今のはゆっくりやりました。水の魔法は他のよりはずっと安全です。夏は便利ですし」  先生の言葉に、静まっていた教室に暖かさが戻る。 「次の授業で実技まで入れたらいいなと思ってます。それじゃ早いけど終わってSHLにしましょう」  といっても特に連絡する事もないですし、と先生は言い、たまたま八時限終了のチャイムが鳴った事もあって、じゃあもう帰りましょうかという流れになった。  時刻は四時。掃除当番終わったら、すぐに帰ってゴロゴロして食堂行くかな。 「修司、魔法面白そうじゃね?」  片山が興奮したように、目を輝かせながら言った。 「そうだな。前半は聞くのが辛かったが、あれを見たら、な」  出来るようになりたいと思うのは当然である。だがしかし、適性有るか無いかわからないような状態では……。 「だよなー、出来るようになりたいよなー」 「そりゃもちろんな」  そーだよなー、と片山は高らかに笑った。そしてその後、耳打ちするように顔を近付けて、小さな声で言った。 「実はさ、俺周りの奴らに比べて検査の結果低いっぽいんだけど……今日先輩達に聞いたら、適性値って自然に上がるんだって」  それはとても良い事を聞いた! 俺は興奮を抑えて、じゃ頑張らなくちゃな、とだけ返した。  
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