Ｂeautiful Ｂoy

ジョーとヨーコ

ついてねー、チキショ。

あまりの暑さから逃避するように駆け込んだパチンコ屋で、ケツの皮までひんむかれてスカンピン。

…ったく、たりーなー。

阿佐ヶ谷の駅前から自宅までは、歩けばたっぷり２０分はかかる。

一文無しで徒歩帰宅は、自殺行為。
カラカラに干からびて、死ぬだろ？マジで。

携帯を開いて、履歴を探り、片っぱしからかけてみる。

夏休みの、それもお盆期間ということもあり、なかなか繋がらない。

頼みの綱のゴローは、

「へろー？アィム、マイコォ？」

わざとらしい巻き舌で狂っちまったのかと思ったら、親の金で、ホームステイ中だとぬかしやがる。

「パツキン美女と、ファッキング、エブリナイト！イェア！」

「…死んでろ、イカレポンチが」

そう言い捨てて乱暴に切った携帯を、シケた噴水に投げ捨てたくなった。

ビョーキもらってきたら、全力で笑ってやる。

あれでクリスチャン、洗礼まで受けてるってんだから、イエス様もさぞやお嘆きだろう。

あー、ムシャクシャする。

噴水のフチに腰かけて、時おり届く、細かい飛沫を浴びていた。

シャツが背中に貼りついて、気持ち悪ぃ。