Ｂeautiful Ｂoy

ジョーとヨーコ

ビートルズのエイトビートが、子守唄代わりだった。

たったひとりの肉親である母親が、ビートルズに心酔していた。

家の中にはいつだって――心臓が血液を送り出すのとさして変わらないレベルで――彼らの歌声が流れていた。

うざったく感じて自室にベッドをねだるまで、「Beautiful boy」の最後のフレーズを、俺の名前に置き換えて口ずさむ母の歌声は、文字通り、海より深い愛に満ちていた。

「２０世紀最大のスター？…Ｆａｂ４は神よ！」

いつもそう言って、朗らかに笑っていた。