第1章「猫」

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 頭がクラクラしてきた。  どうやら深く切りすぎたようだ。 「ヒロ!?」 「……経」  青白い顔をしながら立つ尋をみて、深刻な顔をしながら走ってくる。  ちなみにここは玄関付近の物影だ。  どうして経が気付いたのかは知らないがその前の会話はきいていないようだ。 「血出てるぞ!? 保健室に――」 「いいの。あたしが自分でやったから」 「……でも駄目だ。血止めする」  経は尋の腕をとると、すぐに屈んで止血に入る。  何故止血ができるのかは知らないが、とても迅速な行動で、しかもどこから出したのか包帯まで巻き始めた。 「――慣れてるんだね」 「応急処置なら一通り習った事がある」  はい、OK。  そういって経はいつものように笑った。 「何があったのか知らないけど、無理だけはするなよな」 「………どうしてあたしにそんな事言うのかまったくわかんない」  尋は経を真顔で睨む。  だが経は困ったように、 「だって友達だろ? 俺は友達がつらい時に何もできないなんて嫌なんだ」  なんてベタな事を言って、笑った。  
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