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ぴくり、と経が反応した。
対象的に尋は興味もないようだ。
哀れむ目でみている。
「表に出ろ」
経はそう男たちに呟いて、外に出た。
尋を後ろにする。
完全にカンに障ったらしい。
尋が敏感だからかもしれないが、殺気が溢れ出していた。
(……あ、確か最初のも銀髪だ)
だが経はそのあと茶髪だった。
要するに、学校で染めたわけか。
(あたしは、最初からこいつに助けられてたんだなぁ。言えばいいのに)
変なやつ。
あたしを連れてる時点で変だけど。
と、冷静な感覚で経をみる。
「てめぇ覚悟はいいかよ?」
男の問い掛けに、経は答えない。
「やっちまえ野郎ども!」
鉄パイプやカッターをもった男が一気に突進する。
が、
「さよなら」
経には傷一つ付かなかった。
カッターは粉々。
鉄パイプは遠い彼方へ。
かかってきた四人の男は―――。
「なぁ、訂正しろよ」
経の足元で血に沈んでいた。
体の一部が完全に変形している。
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