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まあ戦っている時は狂犬だったが。
(ていうか、変な人)
あたしみたいな人を、好きになるなんてわけわかんないよ。
尋は心の中でつぶやく。
「とりあえず、あたし帰らなきゃ」
「おう、そうだったな」
経も立ち上がる。
「経はまたお嬢様二人のとこに帰るの?」
「いや、あの屋敷からはでてきた」
「ふーん、って出てきたぁ!?」
経のあっさりした物言いに、勢いよく、ツッコミをいれる尋。
経は笑いながら、
「だって、俺はもう番犬じゃないし」
なんて言っている。
「アンタあほ!? 住み込みだったって事は家無いんでしょ!? どうすんの!」
「っ! ……あ、えと、ホテルか野宿でもしようかなー、と」
近寄って問い詰めると、経は少し頬を赤らめながらしどろもどろに答える。
ほんっとバカだなぁ!!と、尋は経を軽く怒鳴りつけた。
「ホントいうと、何処に家があって何処に住んでたか、わからないんだ」
「?」
「俺は記憶、所々ないから」
少し俯く経。
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