第3章「変」

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 その後の組の行方を知る者はいない、と言われている。 (まあ、経は経だ)  誰であっても、経は経。  だから関係ないのだ。 「なぁ知ってる? あの『狂犬』……また現れたらしいぜ」 「でもアレは確か数年前に死んだって」 「だって『番犬』がいただろ?」 「そりゃそうだけど……」  前の方で男子が何やら話をしている。  経は幸いな事に寝ていた。 「だいたい、他の組のやつらは?」 「それなんだけど、何かこの噂きいて各地で動き出す話があるらしいぜ」 「おいおい、マジでかよ……」  番犬も狂犬も、隣にいるこのバカだぞ、と教えてやりたい気分だ。  そりゃ異常なまでに強い。  だが、普段はホントにヘタレだ。 (他の、か)  何だかとんでもない事に巻き込まれてないかあたし……。  確か一般人だったはずなのに……。  軽くため息をつく。 「もしやつらが復活したら……」 「ああ、また暗黒時代の幕開けだ」 「何で暗黒時代なの?」 「うおわっ!?」  気がついたら経が起き上がり、話に加わろうとしていた。  
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