第3章「変」

11/12
294人が本棚に入れています
本棚に追加
/105ページ
 全く、何を考えているのやら。 「なんだ、白無か」 「なぁなぁ、何で暗黒時代なわけ?」 「おまえ忘れたのか? あの『狂犬』たちのしたこと……」  狂犬率いる『black last』は、盗みや放火など以外は簡単にやらかす超越した集団だった。  通り魔だったわけではないが、組に刃向かう者には鉄拳制裁を下す。  つまり、不良たちや教師にとっては恐れの対象であり、畏れの対象だったのだ。 「あいつらは人も殺すんだぜ?」 「つか、おまえ、覚えてねぇのかよ」  その問いに経はあっさりと、 「だって俺、記憶あんまないし」  なんて答えた。 「はぁ? 記憶喪失かよ!?」  当然驚きの表情が返される。  普通、いないもんなぁ。 「経は記憶喪失なんだー。へぇー」 「あ、雛」  久しぶりに雛が現れた。  どうやら部活で忙しかったらしい。 「でも私、狂犬さんは優しい人だって聞いた事があるよ?」 「はぁ!?」  雛の言葉に、その場にいた全員が叫ぶ。  もちろん、経や尋もだ。  
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!