暁色の空

その瞳は何を映す

けたたましく蝉が鳴いている。

男のその短く切られた髪を夏の生暖かい風が撫でる。

真夏の日差しの集中放火を浴び、その端正な“二枚目”と表現できる顔から汗が流れ落ちた。

男は右腕のスーツで汗を拭い、手で強烈な日差しを遮りながら頭上の青い絵の具をぶちまけたような空を切れ長の目で眺める。

そこには、汚い緑色のヘリコプターが間抜けな回転音を上げながら飛行していた。

直ぐにその男の視界からヘリコプターは横切るように消える。

――やがて、駅にレールを伝いながらモノレールがやって来た。

灰色の飾りの無いモノレールは金属が軋む音を上げながらゆっくりと減速していき、男の前で停止し 鉄製のドアが煙を吐き出す竈のような音と共に開いた。

男はその中に足を踏み入れる。
ドアが閉まった。