その瞳は何を映す

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男が入った部屋のは一般的な会議室と同じ程度の構造をしていた。 しかし、この部屋には特異な箇所がある。 それは窓が一切無い事だ。 秘密保持をするため窓などの外部接触の危険性を排除し、厳重な検査機器を配備したその牢獄のような部屋は、今は昼白色の光で染まっている。 壁と天井に埋め込まれた灯りに何故か、閉塞的な気持ち悪さを感じさせた。 「遅かったな、小宮一等空佐」 部屋の中央で黒い男達が、入室してきた男に無気味に言った。感情の無い瞳と感情の無い唇が動く。 部屋には細長く歪んだドーナツ状のテーブルが、蛍光灯の光によって闇の中で浮かび上がっている。 その周りに黒い背広を着込んだ年齢様々な男達が、等間隔に置かれた背もたれの付いた椅子に腰掛けていた。 椅子の数は十。 既に九脚がうまっていた。 彼らはまるで背景のようで、無言の圧迫と老獪さを抽出したような威圧感が、ここが厳格な場所であること演出している。 小宮と呼ばれた男は、水銀のような息苦しい光景を目の当たりにしても、その切れ長の目と、輪郭の細い精悍な顔に動揺の色を一切浮かべず、 「中央での所用が有った故に遅れた。小宮 竜太郎 空軍一等佐官、只今より出席とさせて頂く」 抑揚の無い声でそう言うと空きのある椅子に落ち着いた歩調で近き、座った。
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