forget me not

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遊子が退院する日がきた 『退院おめでとう、遊子。』 『ありがとうお兄ちゃん!』 『一護!遊子と先に帰っててくれ。』 『あぁ、わかったよ親父。』 お世話になった看護師さん達に挨拶をして病院を出た 『ねぇ、お兄ちゃん。あの花屋さんに寄りたいの!』 『あ…ルキア…か?』 あれから1週間は会っていない 今日もしも会ったら なんて言葉を交わせばいいんだろう 『お兄ちゃん!ほら、いくよ?』 『おいっ、待て…。』 迷っているうちに遊子に手を引かれいつの間にか 花屋の前まで来てしまった 扉の前で一護は立ち止まってしまう 『お兄ちゃん…?』 『俺、外で待ってるから行ってこい。』 『う…うん。』 遊子ひとりで店に入っていった 一護は店の前にある椅子に座る 完全に逃げてる… 情けない…何度も思う 脳裏に焼き付いているのは ルキアの声、姿、優しさ、そして笑顔 忘れたくないほど 好きなんだって気付いた しばらくすると遊子がしょんぼりした顔で店から出てきた 『遊子…?』 『あのお姉ちゃん…やめたんだって。』 『え…!?』 『うん、2、3日前に…。』 『そう…か。』 笑ってられないほど 心苦しかった 『あとこれ…お兄ちゃんにって。』 遊子は紫の花を一護に渡す 『これは?』 『お姉ちゃんがお兄ちゃんって。綺麗だね、その花勿忘草っていうの。』 『勿忘草…?』 『うん、お姉ちゃんが大好きな花なんだって。花言葉はね、“私を忘れないで”っていう意味なんだ。』 『“私を…忘れないで”…?』 家に帰ってからも 部屋に飾った勿忘草を見るとルキアのことを思い出す もう会えないのだろうか… そう思った時だった .
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