1・愛野美奈子

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4時間目 「先生、僕まだこの教科の資料集届いてません。」 この授業では主に資料集を使用して授業を進めていた。 「あら、おかしいわねぇ… 資料集が手に入るまで、愛野さん見せてあげて下さい。」 「はっはい。」 仕方無く、美奈子と最上は席を小学生のようにくっつけ一緒に授業を受けた。 「愛野…」 小さな声で最上は囁き、ノートの端に書いた言葉を美奈子に見せた。 【もう敵じゃない。信じて】 「そう言われても…」 戸惑う美奈子に、最上はそっと机の下から美奈子に袋に入った何かを渡した。 つい、受け取った美奈子は何を渡したのか聞いたが、最上は答えなかった。 【プリンセス・ヴィーナス】 ただ一言ノートにそう書いただけだった。 ―――――――――― ――――― ―― 放課後。 「皆、バイバイ。 あたし今日は部活だからもう行くね。」 美奈子はそう言ってさっさと教室を出て更衣室に向かった。 着替えをしていた時。 カシャン 「エースに貰ったやつ…」 ポケットに入れておいた袋が落ちた。 恐る恐る手にとり、中を見ると薄いオレンジ色の宝石のついたネックレスだった。 (キレイね…。)
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