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ある屋敷の一室。
煌びやか装飾品に大理石でできた床と、天井から吊るされたシャンデリア。
それだけで街の建物とは違い、贄を尽くした造りだとわかる。
そんな中で、黒衣を身に纏い銀髪を揺らす仮面の男と、髭を生やしている太った男はデスクを挟んで座っていた。
偉そうな態度で堂々と座る男の腹部を見れば、富にまみれて肥膨れたのだと容易に想像できる。
「ふひひ、白銀の剣帝とやらも中々小柄だったのだな。少年説は本当かね?」
「ふふっ、どうでしょうか」
「ふひひ、顔は隠せど髪は隠さずか。それではいつかバレるぞい?」
「ええ、構いませんよ。そのためですから」
下品な笑みを浮かべていた男は首を傾げたが、白銀の剣帝は薄い笑みを浮かべるだけで、そのまま立ち上がった。
「では失礼します。魔物の首は護衛騎士に預けました。外で連れが待っていますので」
「ふひひ、さっきのポニーテールの女性かい? もう女がいるとはね」
下品な笑みを浮かべ続ける男に完璧な一礼を施し、白銀の剣帝は出て行った。
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