Episode3.5 個人戦、ギルド、胎動

3/83
19946人が本棚に入れています
本棚に追加
/516ページ
  白銀の剣帝が屋敷の門から外に出ると、左右に広がる大きな道の左に女性が立っていた。 「どうでしたか?」 「やつはただ金に強欲なだけで、貴族と繋がりのない商人だったよ。……はずれ」 「そうですか。報酬はルーン孤児院に送りましたよ」 「んっ、いつもありがとう」 その女性、アイリスにだけ見せる笑顔を白銀の剣帝は浮かべた。 それは学園でも見せない、心からの笑顔。 しかしそれを見た者が、もう一人いた。 「可愛い笑顔ですね。“白銀の剣帝”」 感情のこもらぬ平板な声が後ろから聞こえて、2人は睨むように振り返った。 そこには軍服に似た黒いコートとズボンを着用する男が、無表情なまま2人を見ている。 「リライト……」 「こんばんは。今日は満月の日ですね」 いつもと変わらず淡々と言葉を紡ぐのだが、今日は違う。 ここ最近になって頻繁に出会う彼は、腰に拳銃を携えていた。 「……単刀直入に用件を」 白銀の剣帝の言葉に、律動的な靴音を響かせるリライトは言った。
/516ページ

最初のコメントを投稿しよう!