Episode3.5 個人戦、ギルド、胎動

4/83
19946人が本棚に入れています
本棚に追加
/516ページ
  「僭越ながら、実力を計らせていただこうと思っています」 「珍しいね。君からなんて」 「受けていただけますか」 「もちろん。アイリスは下がっていて」 黒色の回転式戦闘拳銃を腰から抜いたリライトは、銃口を掲げた。 白銀の剣帝――セリムは虚空に切り裂かれた空間に手を伸ばし、そこから取り出した白銀の長剣を手に駆け出した。 刹那、引き金が引かれて銃弾が牙を剥く。 しかし疾風のごとく旋回した白銀の影を捉えれず、虚空を切って終わる。 そして咄嗟にリライトが頭をさげたとき、風を切った刀身が白銀の軌跡を描いて、彼の残像を薙ぎ払った。 「……」 互いに息を呑み、次の一手を予測しようと感覚を研ぎ澄ませた。 結果。 互いに距離を取った後、リライトが銃火を閃かせる。 轟音。さらに轟音。続けざまに轟音。 連続射撃(ファニング)と呼ばれ、銃発と共に撃鉄(ハンマー)を上げて速射を可能とするテクニック。 当然命中率は劣るはずだが、驚くことに銃弾は全てセリムに向かってた。 銃弾が硝煙をあげながら床に落ちて音を響かせる――と同時に、流れるような動作で回転式弾倉に実弾が籠められていく。
/516ページ

最初のコメントを投稿しよう!