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「指名手配のグライゼル。Cランク級……つまりは騎士レベルか」
兵士よりも上である騎士は、一般人なら剣の修練を10年積めば、なれる可能性もあると言われている。
つまり才能とかなりの努力を必要とするレベルだ。
しかしセリムは、目にかかる雪のように白い髪を掻き上げると、不敵に笑った。
「――3秒だ」
その言葉が何を意味するのか、グライゼルも黒髪の女性も理解しただろう。
グライゼルは額に青筋を浮かべて、ショートソードを下段に構えた。
怒るのも当然。
セリムの手には鍔の無い剣が握られているが、白いシャツに黒いズボンとラフな格好だ。
身を守る鎧も、ガントレットも、レガースも、なにもない。
唯一、黒縁の眼鏡の奥に光る紅い瞳だけはグライゼルを威圧していた。
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